愛犬が突然ご飯を食べなくなったとき、日常生活のなかで対処できる場合もあれば、病院で治療が必要になる場合もあります。

愛犬の健康を守るために、原因に合わせてしっかりと対処できるようにしておきましょう。

今回は、犬がドッグフードを食べない理由や原因、動物病院を受診する目安、食事を拒否する時の対処法について詳しく解説します。

監修医師 ちば愛犬動物フラワー学園   平田 繭子
平田 繭子

平田 繭子

北里大学獣医畜産学部卒業

現在は専門学校に勤務しつつ、地域の動物病院にて勤務医として従事。

平田先生の監修した記事一覧
https://woofwoof.jp/specialist/specialist-1228/

<この記事でわかること>
  • 犬がご飯を食べない理由:病気、ストレス、老化、わがままな行動、ドッグフードを切り替えた、夏バテ
  • 動物病院で獣医師に相談すべき場合:水を飲まない、下痢や嘔吐をする、元気がない
  • 犬が食事を拒否する時の対処法
目次

「犬がご飯を食べなかった」という経験がある人は約7割

Q.犬がご飯を食べなかった経験はありますか?計100人
ある76人
ない24人
※ウィステリア製薬調べ:犬を飼っている人100人にアンケート調査

「犬がご飯を食べなかった」という経験のある人がどのくらいいるのか、犬を飼っている人100人を対象に調査したところ、7割以上の飼い主が「経験がある」と回答する結果となりました。

では、実際に犬がご飯を食べない時はどのように対処したのでしょうか?

犬がご飯を食べない時どのように対処しましたか?

Q.犬がご飯を食べない時はどのように対処しましたか?計76人
トッピングを加えた26人
ドッグフードの種類を変えた25人
ドッグフードを柔らかくした9人
特に何もしなかった7人
ドッグフードから手作りご飯(手作りごはんからドッグフード)に変えた4人
食べやすいご飯を作った3人
おやつを食べさせた2人
※ウィステリア製薬調べ:犬を飼っている人100人にアンケート調査

「犬がご飯を食べなかった経験がある」と答えた人に、「犬がご飯を食べない時どのように対処しましたか?」という質問をしたところ、「トッピングを加えた」という回答がもっとも多い結果となりました。

ご飯にチーズや肉、魚や野菜などをトッピングする事により、食欲を掻き立て、食べてくれる確率が上がることもありそうです。

ですが、ご飯を食べない原因が病気やストレス、老化などの場合はこのような方法でも食べてくれないこともあります。

そのため、飼い主はご飯を食べない原因を知り、正しい対処をしていくことが大切です。

次章からは原因別の正しい対処法について詳しく説明していきますので、参考にしてみてください。

犬がご飯を食べない理由や原因とは?

犬がご飯を食べなくなるのは、病気やストレス、偏食などさまざまな原因が考えられます。

ここでは、犬がご飯を食べない代表的な理由や原因を6つ紹介します。

病気による影響

犬がご飯を食べないときは、病気によって食欲不振の症状が出ている場合があります。

とくに、持病がある場合や子犬やシニア犬で免疫力が低い場合は要注意です。

愛犬の様子をよく見て、他に症状がないか確認してみましょう。

獣医師に相談する目安となる症状については、後ほど詳しく解説します。

ストレスの影響

犬も人と同じように、ストレスを感じて食欲がなくなってしまうことがあります。

例えば、

  • 引っ越しをして環境に慣れてない
  • 留守番をする時間が長い
  • 家族構成が変わった(ペットや赤ちゃんが増えたなど)
  • 飼い主とのコミュニケーションが少ない
  • 嫌いな人や動物がいる

といったことが要因となります。

あくびをする、目をそらす、舌なめずりをする、足を舐めるなどの行動が目立つ場合は、ストレスのサインの可能性があるでしょう。

老化による影響

年齢を重ねると、老化によって筋力や代謝、消化機能の低下、嗅覚や味覚の衰えといった変化が起こり、食事量が減ることがあります。

また、老化による噛む力や飲み込む力の低下、歯のトラブルで硬いものが飲み込みづらいといった理由で、ご飯が食べられなくなっている場合もあるでしょう。

わがままな行動

ご飯を食べないときは、わがままな行動も原因のひとつです。

「フードの味や食感が気に入らない」「食べ飽きた」といった理由で、食べることを嫌がっているのかもしれません。

好きなおやつを与えたときに喜んで食べる、人の食べ物を欲しがる、フードのトッピングだけ食べるといった場合は、わがままの可能性が高いでしょう。

フードを切り替えたことによるもの

新しいフードに切り替えたとき、残したりひと口も食べてくれなくなったりすることがあります。

子犬用から成犬用、シニア用といったように、犬のフードは成長に合わせて切り替える必要があります。

また、愛犬の好みやアレルギー、病気、経済的理由などでフードを切り替えることもあるでしょう。

体調に異常がなく、「フードのニオイは嗅ぐけど食べない」「いつものフードをあげると食べる」といった状態なら、新しいフードを警戒している可能性があるでしょう。

夏バテによるもの

夏にご飯を食べなくなった場合は、夏バテが原因かもしれません。

夏バテになるとご飯だけでなく、おやつにも興味を示さなくなることがあります。

「散歩に行きたがらない」「元気がない」といった状態になり、嘔吐や下痢、軟便といった症状が引き起こされることもあります。

さらに、夏バテから脱水症状を起こす場合もあるので注意が必要です。

こんな時は動物病院で獣医師に相談!

ご飯を食べない以外に、体調不良がある場合は、何らかの病気が関わっている可能性があります。

以下のような症状がある場合は、できるだけ早めに動物病院を受診し、獣医師に相談することをおすすめします。

水を飲まない

ご飯だけでなく水も飲まない場合は、全身の状態が悪くなっている恐れがあります。

椎間板ヘルニアのような強い痛みのある病気、悪性腫瘍、重度の感染症による敗血症などがあると、何も口にできなくなることがあります。

水分摂取不足から、脱水症状を起こすリスクもあるので注意しましょう。

嘔吐や下痢をする

ご飯を食べずに嘔吐や下痢をしている場合、夏バテの症状や異物誤飲による消化不良が原因として考えられます。

他にも、細菌性の感染症や腫瘍、肝臓、腎臓などの代謝に関わる臓器の機能が低下している恐れがあるでしょう。

胃腸炎や胃潰瘍、腸閉塞など消化器に問題がある場合、「お腹を触ると痛がる」「血便が出る」といった症状が現れることがあります。

元気がない

食欲低下に伴い、「ぼんやりしている」「じっとして動かない」「ずっと寝ている」など元気がない場合は、痛みや発熱がある可能性があります。

全身の病気では、骨折、関節炎、椎間板ヘルニア、てんかん、低血糖症、内臓疾患などさまざまな病気が疑われます。

また、口内炎や歯周病など口腔内の病気があると、炎症の痛みから食欲が低下して元気がなくなることがあります。

とくに、歯周病は犬のかかる病気でもっとも多く、3歳以上の犬の約80%が歯周病を患っているといわれています。

歯周病が悪化すると全身の病気の原因にもなるため、早めに治療をすることが大切です。

犬が食事を拒否する時の対処法

犬がご飯を食べないとき、どのように対処すればいいのでしょうか。

ここでは、原因別に、犬が食事を拒否する時の対処法を紹介します。

病気が原因で食べない場合

病気が原因で食べない場合は、動物病院で適切な治療を受け、日常生活での対処法を指導してもらう必要があります。

犬が食事を拒否していて病気の疑いがあるときは、できるだけ早めに動物病院を受診しましょう。

ストレスが原因で食べない場合

ストレスが原因で食べない場合は、ストレスの要因となっていることを突き止めて、取り除いてあげましょう。

散歩や遊びの時間を増やす、スキンシップを増やす、愛犬が快適に過ごせる生活環境を作るといったことがストレス解消に効果的です。

また、心身の健康を保つとストレスが溜まりにくくなるため、栄養バランスの整ったごはんを与えるようにしましょう。

老化が原因で食べない場合

老化が原因で食べない場合は、少量でも栄養やカロリーが摂れるフードに変えたり、食事の回数を増やしたりしてみましょう。

また、嗅覚の衰えがある場合は、ウェットフードなら軽く温める、ドライフードならお湯でふやかすといった工夫をするとニオイが強くなって食事量が増えることがあります。

ニオイが強いトッピングをするのも効果的です。

偏食やわがままな行動が原因で食べない場合

偏食やわがままな行動が原因の場合は、食べるようになるまで待つのがおすすめです。

ご飯を食べないときに好きなおやつを与えたり、人の食べ物を与えたりしていると、「ご飯を食べなければより美味しいものがもらえる」と思ってしまうことがあります。

ご飯を出して10〜15分程度経ったら、食べていなくても器を下げ、次の食事まで何も与えないようにしましょう。

おやつを与える場合は、少量にするのがポイントです。

食事を食べるようになったら、たくさん褒めてあげましょう。

フードを切り替えたことが原因で食べない場合

フードを切り替えたことが原因で食べない場合、与えていたフードに新しいフードを少しずつ混ぜていくと警戒せずに食べることがあります。

はじめは1/4程度、慣れてきたら半分ずつ、3/4と混ぜる量を増やしていき、10日程度で新しいフードに切り替えていくと移行しやすいでしょう。

夏バテが原因で食べない場合

個体差はありますが、犬に適した夏の室温は24〜26度程度、湿度は40〜50%程度です。

夏バテが原因で食べない場合は、エアコンや除湿器、加湿器を使用し、愛犬が快適に過ごせる温度・湿度に保ちましょう。

湿温度計を活用すると、温度・湿度を一定に保ちやすくなるのでおすすめです。

他にも、夏バテ対策には、以下のような方法があります。

  • 必要な水分量を摂らせる
  • 熱がこもらないように抜け毛を除去する
  • 日光や熱から体を守るために、トリミングで毛を短くカットしすぎない
  • 涼しい時間帯に散歩や運動をさせる

【愛犬がご飯を食べない】獣医師から伝えたいこと

犬が突然ご飯を食べなくなったら心配ですよね。

特に普段は食欲旺盛な子が食べなくなったら、何か病気のサインがあると考えた方が良いでしょう。

元から食が細い子は、食べたり食べなかったりを繰り返す傾向があるので、本当に具合が悪いのか判断を迷いがちになります。

その場合は病院に連れて行くべきか悩むと思うのですが、大抵の場合、身体を触られるのを嫌がったり、明らかに元気がない、体重が落ちてきたと言った他の兆候が出てくる事が多いですので、そのサインを見逃さないことが重要です。

病気は治療のスタートが早ければその分早く治りますし、慢性化してしまうと治癒にはその倍以上の時間が掛かると考えられます。

わんちゃんの小さな異変にすぐ気付けるよう、普段から身体をよく触ったり、普段どんな行動をしがちなのか把握しておくことをお勧め致します。

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