猫はよく寝ることで知られていますが、1日のうちどのくらい眠っているのでしょうか。
また、「猫の睡眠環境の整え方を知りたい」「一緒に寝るのは信頼してくれているから?」など、猫の睡眠に関する疑問を感じている人もいるでしょう。
今回は、猫の睡眠時間や睡眠の質を上げる方法、猫が飼い主と一緒に寝る理由について詳しく紹介します。
栗山 宏美
麻布大学獣医学部獣医学科卒業
動物病院で3年間臨床医として勤務
現在は臨床医として働きながら保護猫活動のための診療施設ろろの猫部屋を開業
同時に栄養学専門獣医師として手作り食のレシピ設計や監修を行うろろの犬猫食堂を運営
栗山先生の監修した記事一覧
https://woofwoof.jp/specialist/specialist-1221/
- 猫が寝る時間:成猫は14時間、子猫は18時間
- 猫の睡眠の質を上げる方法:暗い場所や眠りやすい場所を作ってあげる、室温21〜28度前後・湿度60%以下を保つ
- 猫が飼い主と一緒に寝る理由:甘えたい、体調が良くない、信頼している、布団やベッドが暖かい、飼い主を守りたい
【猫が寝る時間】成猫は約14時間、子猫は約18時間
個体差がありますが、猫は半日以上寝て過ごすことがほとんどです。
成猫で約14時間、子猫は約18時間眠るといわれており、哺乳期の子猫やシニア猫の場合、約20時間以上睡眠をとることもあります。
猫が長く睡眠をとる理由や、体調不良の可能性についてチェックしてみましょう。
猫の睡眠時間が長くても大丈夫!
猫は肉食動物で、本来狩りで獲物を捕らえる必要があります。
狩りをするにはエネルギーを使うため、長く睡眠をとって体力を温存していると考えられます。
猫は長時間まとめて睡眠をとるのではなく、1日のうちに短い睡眠を繰り返します。
人間のようにレム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)を繰り返していますが、猫は警戒心が強く、熟睡している時間よりもウトウトしている時間の方が長いようです。
睡眠が長いのは猫の習性によるものなので、寝ていることが多くても基本的に心配ありません。
体調が悪くてうずくまっている場合はあるの?
猫は痛みや不調があると、うずくまってしまうことがあります。
体調が悪くて休息をとっている可能性があるため、寝ている時間が異常に長い場合は注意が必要です。
猫は体調が悪いと外敵から襲われないように隠れる習性があるので、部屋の隅や人目のつかない場所で寝ることが増えたときは体調が悪い可能性があります。
他にも、以下のような様子があるときは、体調不良のサインかもしれません。
- 食事や遊びに興味を示さずにずっと寝ている
- 寝ているときに呼吸が早い
- 寝ているときに寒くないのに震えている
- 寝ているときにずっと喉を鳴らしている
いつもと違う様子があり、体調に不安があるときは、獣医師に相談しましょう。
とくに、ぐったりしている、嘔吐や下痢など他の不調があるという場合は、早めに動物病院を受診することをおすすめします。
猫を飼っている人100人を対象に睡眠時間に関するアンケートを行いました!
猫の睡眠時間が長くて悩んでいる人は、他の猫も同じなのか気になる人も多いのではないでしょうか。
実際に猫を飼っている人100人を対象に睡眠時間に関するアンケートを行いましたので、参考にしてみてください。
猫がずっと寝ていて心配になったという飼い主は約3割!
Q.猫がずっと寝ていて心配になったことはありますか? | 計100人 |
---|---|
ある | 33人 |
ない | 67人 |
※ウィステリア製薬調べ:猫を飼っている人100人にアンケート調査
猫がずっと寝ていて心配になった経験のある飼い主は全体の約3割でした。
猫の睡眠時間が長いということは認識していても、あまりにもずっと寝ていることで不安を感じてしまったという声もみられました。
子猫時代は13時間以上睡眠をとっていた猫がほとんど!
Q.子猫はどのくらい睡眠をとりますか? | 計100人 |
---|---|
5時間未満 | 2人 |
5〜8時間 | 2人 |
9〜12時間 | 4人 |
13〜15時間 | 7人 |
16時間〜20時間 | 17人 |
ほぼ1日中寝ている | 7人 |
子猫時代に飼っていない | 61人 |
※ウィステリア製薬調べ:猫を飼っている人100人にアンケート調査
成長期でもある子猫時代はほとんどの猫が13時間以上寝ているという結果がでました。
子猫時代は成長ホルモンが分泌されるのと同時に、起きている間に成猫よりも多くの体力を消費します。
長時間睡眠をとることにより、体力を回復させていますので無理に起こすようなことはしないようにしましょう。
成猫は子猫より少し短い9〜12時間の睡眠をとる猫が多い!
Q.成猫はどのくらい睡眠をとりますか? | 計100人 |
---|---|
5時間未満 | 1人 |
5〜8時間 | 1人 |
9〜12時間 | 35人 |
13〜15時間 | 27人 |
16時間〜20時間 | 10人 |
ほぼ1日中寝ている | 24人 |
わからない | 2人 |
※ウィステリア製薬調べ:猫を飼っている人100人にアンケート調査
成猫は9〜12時間の睡眠をとるといった結果が一番多く、次いで13〜15時間、ほぼ1日中寝ているという順になりました。
子猫時代に比べると少し睡眠が短くなったように感じますが、人間と比べると睡眠時間は長めです。
また、老猫になればなるほど睡眠時間が長くなる傾向もありますので、年齢に応じて睡眠時間を管理してあげるようにしてください。
猫の睡眠の質を上げる方法
睡眠は体力の回復やストレス軽減、免疫力向上などに関係しているため、猫の健康維持のためにも、良質な睡眠をとれるように環境を整えてあげましょう。
ここでは、猫の睡眠の質を上げる方法を紹介します。
暗い場所を作ってあげる
猫は明るさに敏感で暗い場所を好む傾向があるため、人工の光が強すぎると睡眠の質が下がってしまう場合があります。
前足で目を覆うようにして寝ている場合は、光を眩しく感じているサインかもしれません。
暗い場所を作ってあげる、照明を消すなどの対策をとってあげましょう。
眠りやすい場所を作ってあげる
猫は暖かい場所や、敵に狙われにくい高い場所などを好みます。
日差しが当たる窓際や本棚の上など猫が気に入っている場所に猫のベッドを置き、眠りやすい場所を作ってあげるのも睡眠の質の向上につながります。
猫は季節や気分によってお気に入りの場所が変わることがあるので、様子を見ながら数カ所に寝床を作ってあげると良いでしょう。
また、猫は大きな音が苦手なので、静かな環境で寝かせてあげることも大切です。
室温は21〜28度前後、湿度60%以下を保つ
睡眠の質を上げるには、猫が快適に感じる気温や湿度を保つことも重要なポイントです。
寒いとき、暑いときのサインは以下のようなものがあります。
寒いときのサイン | 暑いときのサイン |
---|---|
・ずっと顔を埋めて丸くなっている ・細かく震えている ・ご飯は食べるけどあまり水を飲まない ・トイレの回数が少ない ・毛が逆立っている ・くしゃみや鼻水が増える ・飼い主にくっついて離れない | ・仰向けになって足を伸ばして寝ている ・頻繁に体を舐める ・日陰や床が冷たい場所でじっとしている ・食欲がない |
猫が適した室温は20度前後、湿度は60%以下なので、エアコンや加湿器、除湿器などを使って部屋の温度・湿度を調整してあげましょう。
寝ているときはなるべく構わない
猫が寝ていると可愛くて顔や体を撫でたり、肉球を触ったりして構いたくなる人も多いでしょう。
寝ている猫は無防備なので、急に触られると驚いて起きてしまうことがあります。
嫌がっているのにしつこく触るとストレスになり、警戒して飼い主の近くで寝なくなることもあります。
睡眠の質が下がる原因にもなるので、触ってほしい様子がないなら、なるべく構わないようにしましょう。
猫が飼い主と一緒に寝る理由
猫が飼い主と一緒に寝るときは、さまざまな理由があります。
ここでは、猫が飼い主と一緒に寝る理由を紹介します。
甘えたい
猫は「甘えたい」という気持ちから、飼い主と一緒に寝ることがあります。
母猫と一緒に寝るときのように、守られている安心感が得られるのでしょう。
飼い主の膝やお腹の上に乗って寝るなら、甘えている可能性が高いです。
他にも、甘えているときはゴロゴロと喉を鳴らす、飼い主のお腹や腕、足をふみふみするといった行動をとることがあります。
足元で寝ている場合は、防衛本能が働いていて、甘えたいけど甘えられないのかもしれません。
信頼していないわけではないので、時間が経てば一緒に寝るようになることがあるでしょう。
信頼している
警戒心が強い猫は、身の安全を図れるところを寝る場所に選ぶ傾向があります。
猫が飼い主と一緒に寝るときは、基本的に飼い主を信頼していると考えて良いでしょう。
飼い主の顔の近くで寝る場合は、信頼されている可能性が高いです。
とくに、飼い主の顔付近でお尻を向けて寝ているなら、信頼関係が築けている証と考えられます。
猫はすぐに逃げられない場所を嫌うため、飼い主の股の間で寝る場合は安心しきってるのでしょう。
ただし、猫の性格や好みなども関わるため、猫が一緒に寝てくれないからといって信頼されていないわけではありません。
布団の外や飼い主から離れて寝ている場合でも飼い主を警戒しているのではなく、遠くから見守っている可能性があります。
一緒に寝ていたのに寝なくなった場合は、寝返りで押し潰されそうになった、いびきがうるさかったなど嫌な思いをしたからかもしれません。
自分のパーソナルスペースを守りたい猫もいるので、無理に距離を縮めようとするのは避けた方が良いでしょう。
布団やベッドが暖かい
猫が寒いと感じている場合、飼い主が寝ている布団やベッドの中に入ってくることがあります。
布団やベッドの中が暖かくて、寝心地が良く感じるのでしょう。
また、ふわふわした感覚や肌触りが心地よくて快適に感じている場合も、ベッドや布団の中に入ってくることがあります。
飼い主を守りたい
猫が飼い主と寝ようとするのは、飼い主を守りたいと思っている場合もあります。
猫は縄張り意識が強く、自分のテリトリーで一緒に暮らしている飼い主を守ろうとすることがあるのです。
布団の上に乗って寝ているなら、眠っていて無防備になっている飼い主を見守っている可能性があるでしょう。
猫の睡眠時間は長くても問題なし!
猫がいつも寝ていると不安になる人もいるかもしれませんが、もともと猫は睡眠時間が長いため、基本的に問題はないでしょう。
しかし、一般的な睡眠時間より長かったり、異変を感じたりしたときは、体調不良の可能性もあります。
いつもと様子が違うと感じたら、動物病院を受診しましょう。
睡眠時間が長い猫にとって、快適な眠りをとることが幸せに繋がります。
今回紹介した睡眠の質を上げる方法を参考に、安心して眠れる環境を作ってあげましょう。
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