愛犬がブルブルと震えていると、寒いのか、体調不良なのかわからずに不安を感じてしまう方も多いのではないでしょうか。
犬の震えは一時的なものであることが多いですが、病気や中毒など緊急性の高い状態の場合もあります。
愛犬の健康を守るために、震えているときに考えられる原因を把握しておきましょう。
今回の記事では、愛犬が震える原因、犬が震える原因となる病気、動物病院への受診が必要な症状の目安、対処法について詳しく解説します。
丸田 香緒里
Animal Life Partner 院長、(一社)往診獣医師協会代表、獣医師。日本大学卒業。動物病院
勤務後「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットー に Animal Life Partner 設立。
獣医中医師、ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、病院での診療の他、シニアケアや
飼い主の心のケアにより力を入れた往診診療を行う。
著書:「犬のいる暮らし 一生パートナーでいるために知っておきたいこと」(池田書房)
丸田先生の監修した記事一覧
https://woofwoof.jp/specialist/specialist-1396/
- 犬が震える原因
寒さ、ストレス、老化、恐怖心や警戒心、病気 - 犬が震える原因となる病気
中毒症状や低血糖、内臓の機能障害、脳の障害、怪我の痛み - 動物病院へいった方がよい症状
- 犬が震える際の対処法
犬の震えの原因5つ!
ここでは、犬が震える原因を5つ紹介します。
寒さが原因で震えている
犬は寒いと筋肉を細かく動かし、熱を発生させて体温を保とうとします。
これは「シバリング」という生理反応のひとつで、体が温まると震えは止まります。
子犬やシニア犬、小型犬、短毛でシングルコートの犬種などは寒さに弱い傾向があるため、気温が低いと体が震えやすいです。
ストレスが原因で震えている
ストレスを感じたときにも、体がブルブルと震えることがあります。
何に対してストレスを感じるかは個体差がありますが、犬のストレスの主な要因は以下の通りです。
- 来客
- 近所の工事などによる騒音
- 雷や強風など気象要因によるストレス
- 引越しや宿泊などによるストレス
- 運動不足
- 長時間の留守番 など
老化が原因で震えている
年齢を重ねると筋力の低下によって踏ん張りが効かなくなり、小刻みに震えることがあります。
老化が原因の場合、立ったり座ったりするとき、排便や排尿のときに震えが目立つのが特徴です。
シニア犬が震えているときは、関節炎や関節痛の症状の場合もあるので注意しましょう。
恐怖心や警戒心が原因で震えている
恐怖心や警戒心も震える原因のひとつです。
何に対して恐怖心や警戒心を持つかは犬の性格によって異なりますが、主な要因は以下の通りです。
- 花火・雷・工事など大きな音を聞いた(振動を感じた)
- 初めての場所に行った
- 初対面の人に触られた
- 嫌いな人に会った
- 動物病院に行った
病気が原因で震えている
愛犬が震えているときは、病気が原因の場合もあります。
犬が震える原因となる病気はさまざまなものがあり、なかには早期的な治療が必要なケースがあります。
上記のストレスや恐怖心以外の場合、病気の可能性もあるため、明らかな原因がわからない時には早めに動物病院を受診することが大切です。
【要注意】犬が震える原因となる病気
ここでは、犬が震える原因となる病気を紹介します。
中毒症状や低血糖による震え
中毒を起こす可能性のある食べ物を食べてしまった場合、中毒症状として震えが起きることがあります。
例えば、犬が中毒症状を起こす恐れのある食べ物は以下の通りです。
- チョコレート
- マカデミアナッツ
- ネギ類
- アボカド
- キシリトール
- レーズン
- ぶどう
- アルコール など
自然毒や薬品、細菌の毒素も中毒を起こす原因となります。
また、低血糖も震えの原因のひとつです。
子犬は低血糖のリスクが高く、糖尿病を患っている犬はインスリンの過剰投与によって低血糖を招くことがあります。
内臓の機能障害による震え
肝臓や腎臓は、体内の老廃物を代謝したり排泄したりする働きがあります。
これらの内臓の機能が低下して、腎機能不全や肝機能不全になると、体内に毒素が溜まって震えやけいれんなどの神経症状が起こることがあります。
脳の障害による震え
脳炎(壊死性髄膜脳炎脳炎や壊死性白質脳炎)、脳腫瘍、てんかんの発作、水頭症などの脳の障害が起きると、神経症状としてけいれんが起こる場合があります。
震えは、けいれんの前兆として起こることがあります。
怪我の痛みによる震え
犬が怪我をしている場合、痛みを感じて震えることがあります。
また、椎間板ヘルニアで首や腰、背骨などに強い痛みを感じている可能性も考えられます。
動かずに小刻みに震えている、耳や尻尾を下げて震えている、抱っこしたときや動いたときにキャンと鳴くといったときは、体に痛みを感じている可能性が高いでしょう。
こんな症状があれば動物病院へ!
けがや中毒、病気の疑いがあるときは、動物病院で検査や治療を受けることが大切です。
震え以外に以下のような症状があれば、早めに動物病院を受診しましょう。
- 食欲がない
- 元気がない
- じっとして動かない
- 嘔吐している
- 下痢をしている
- けいれんがある
- ハァハァと息が荒い
- 尿が出ないまたは増える
- よだれが増える
- 意識が朦朧としている
このような症状以外にも、飼い主が「いつもと違う」「異常を感じる」といった様子がある場合は、すぐに動物病院を受診することをおすすめします。
犬が震えるときの対処法を知ろう!
寒さ、ストレス、老化、恐怖心や警戒心が原因で、軽度の震えである場合は、自宅でケアをして様子を見てもよいでしょう。
ここでは、原因別の対処法のポイントを紹介します。
寒さによる震えの対処法
寒さが震えの原因の場合は、室温を上げる、暖かい場所に連れて行く、毛布で体を包むなどの方法で愛犬の体を温めてあげましょう。
冬の散歩で体が震える場合は、散歩前に運動をさせて体温を上げてから出かけるのがおすすめです。
日中の暖かい時間に出かける、犬用コートやセーターなど保温性のある服を着せる、気温が低い日や風の強い日は散歩を短時間で終わらせるといった方法も寒さ対策になります。
ただし、震えていて体が冷たくなっているときは、低体温症の可能性もあるので注意が必要です。
「対処法を試しても改善しない」「反応が鈍い」といった場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
ストレスによる震えの対処法
ストレスによって震えが起きている場合、放置すると症状が悪化して問題行動や心身の病気につながる恐れがあるので注意が必要です。
早めに対処してストレスを解消してあげましょう。
コミュニケーション不足ならおもちゃで遊んであげる、そばにいて撫でてあげるといったことがストレス解消に有効です。
他にも、運動不足なら散歩の回数を増やす、ペットが増えたなら部屋を分けるなど、愛犬への対応や環境を見直して、ストレスの要因を取り除いてあげましょう。
老化による震えの対処法
老化による震えがあるときは、まずは獣医師に相談して病的なものでないか診断してもらいましょう。
筋力低下が原因であれば、運動をさせることで症状が改善する場合があります。
散歩の距離を少し伸ばす、緩い傾斜のある場所をゆっくり歩かせるなど、無理のない範囲で足を動かす運動をして筋力を維持しましょう。
運動内容については、獣医師に相談することをおすすめします。
また、滑りにくい床材に変更すると、踏ん張りやすくなって震えを抑えられることがあるでしょう。
恐怖心や警戒心による震えの対処法
恐怖心や警戒心が原因の場合は、原因を取り除くと症状が改善することが多いです。
例えば、花火や工事などの大きな音が原因なら、できるだけ音を遮断する、音がしない場所に移動するといった方法が有効でしょう。
また、恐怖心や警戒心があるものを見つけておき、避けるようにすると震えの予防になります。
知らない人や犬に警戒する場合は、社会経験が足りない、過去にトラウマがあるといったことが要因となっている可能性があります。
積極的に触れ合わせて慣れさせる、良い振る舞いができたらたくさん褒めてあげるといったことをして、恐怖心や警戒心をなくしてあげることが対策になります。
ただし、強い恐怖心や警戒心があるとストレスが溜まったり、攻撃的になったりすることがあるので、獣医師やプロのトレーナーに相談することをおすすめします。
犬の震えは原因別に対処してあげよう!
犬が震えているときはさまざまな原因が考えられるため、愛犬の様子を確認して原因別に対処しましょう。
寒さや老化などが原因で緊急性の高い症状でなければ、自宅で様子を見ても良いでしょう。
ただし、震え以外にも症状がある、震えが強くてけいれんのようになっているといった場合は要注意です。
病気かどうか判断するのは難しいこともあるので、気になる症状があるときは早めに獣医師に相談してください。
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