猫を飼うときに必要となるトイレトレーニング。

誤ったやり方でトイレトレーニングをすると、なかなかトイレを覚えずに粗相が増えたり、排泄を我慢してしまったりすることがあります。

飼い主と愛猫がストレスなく暮らせるように、正しい方法でトイレのしつけをして環境を整えてあげましょう。

今回は、トイレトレーニングのポイントや子猫のトイレのしつけをするタイミング、成猫のトイレのしつけ方、猫がトイレを失敗してしまう原因について詳しく紹介します。

監修医師 ちば愛犬動物フラワー学園   平田 繭子
平田 繭子

平田 繭子

北里大学獣医畜産学部卒業

現在は専門学校に勤務しつつ、地域の動物病院にて勤務医として従事。

平田先生の監修した記事一覧
https://woofwoof.jp/specialist/specialist-1228/

<この記事でわかること>
  • 猫がトイレトレーニングをする際のポイント:ニオイで場所を覚えさせる、トイレのサインに気づいてあげる、トイレの設置場所を工夫する、トイレで排泄できたら褒める、間違った場所でトイレをしても怒らない、トイレの数は猫の数+1個が理想
  • 子猫のトイレのしつけをする時期:自分で排泄できるようになる生後3〜4週間頃
  • 成猫のトイレのしつけ方:ケージ内にトイレを設置して隔離する
  • 猫がトイレを失敗する原因:泌尿器系のトラブル、老化によるもの、トイレが汚い、トイレが小さすぎる、トイレを別の場所だと勘違いしている、猫砂の種類が合わない
目次

【成猫】トイレトレーニングをする際のポイント

猫のトイレトレーニングは、適切なしつけ方や環境を作ってあげることが大切です。

猫のトイレトレーニングをする際の基本的なポイントをチェックしておきましょう。

項目内容ポイント
猫がトイレのサインを出す様子・落ち着きがない
・床のニオイをかぐ
・床を手で掘る仕草をする
・お尻をむずむずさせる
猫の行動をよく観察して、サインを見逃さないようにしましょう。
トイレのしつけ方法・トイレのサインが出たらすぐにトイレに連れて行く
・トイレに猫の排泄物のニオイをつける(少量、様子を見ながら)
・トイレの場所を隔離する(静かで安全な場所)
繰り返し行うことで、猫はトイレの場所を覚えていきます。
トイレ選び・置き場所:静かで安全な場所、猫が入りやすい場所
・清潔さ:こまめに掃除する
・猫砂:猫の好みや体調に合わせたもの
猫が快適にトイレを使えるように、適切な環境を整えましょう。
トイレを嫌がる場合・トイレに体全体で入らない
・トイレの縁に足を掛ける
・トイレの後、排泄物に砂をかけずに出て行く
猫がトイレを嫌がる原因を突き止め、改善策を検討しましょう。
しつけがうまくいかない場合・トイレの場所、清潔さ、猫砂を見直す
・猫の性格や環境に合わせた方法を試す
・獣医師に相談する
焦らず根気強く、猫のペースに合わせてしつけを進めましょう。
その他・フェロモンタイプの猫用スプレーを使用する
・猫の性格や環境によって、習得に時間がかかる場合がある
・信頼関係を築くことが重要
様々なアイテムや方法を活用し、猫との信頼関係を築きながら、しつけを進めましょう。

ニオイでトイレの場所を覚えさせてあげる

猫のトイレトレーニングをする際は、トイレの場所を覚えてもらいやすい環境を整えるのがポイントです。

トイレに自分の排泄物のニオイがついていると、『ここがトイレの場所』と認識しやすくなります。

  • トイレに猫の排泄物を置く
  • 粗相した場所を拭いたティッシュをトイレに置いておく

といった方法で、トイレにニオイをつけてあげましょう。

また、新しいトイレを設置するときは、使っていた猫砂を混ぜるとスムーズに移行しやすくなります。

トイレのサインに気づいてあげる

猫がソワソワして歩き回ったり、床のニオイを嗅いだりして落ち着きがなくなったら、排泄したくなっているサインです。

トイレサインに気づいてあげて、トイレに連れて行くことを繰り返しましょう。

個体差がありますが、猫の排尿は1日1〜3回、排便は1日0〜2回が目安です。

目が覚めたときや食事後に排泄することが多いため、トイレに連れて行ってあげるとトイレの場所を覚えやすいでしょう。

トイレの設置場所を工夫する

スムーズにトイレトレーニングを進めるには、トイレの設置場所も重要なポイントです。

猫がストレスを感じるような場所にトイレを置いてしまうと、嫌がってトイレを使ってくれないことがあります。

トイレの設置に向いているのは、以下のような条件が揃っている場所です。

【猫のトイレの設置に向いている場所】
  • 人通りが少なくて静か
  • 風通しが良い
  • 猫の生活エリアから近い
  • 猫の食事場所から離れている
  • 適切な温度や湿度が保たれている

猫のトイレは静かな場所が適していますが、排泄の様子を確認できるように飼い主の目が届く場所に設置しましょう。

また、野良猫や外猫だった成猫をお迎えした場合、トイレに慣れずに排泄しないことがあります。

その場合は、ケージ内にトイレを設置し、人目に触れないように布などで覆って隔離してあげると排泄しやすくなるでしょう。

トイレで排泄できたら褒める

トイレで排泄できたら、褒めてあげると嬉しくなってトイレの場所を覚えやすくなります。

トイレで排泄している最中に大声で喜んだり褒めたりすると、猫が驚いてしまうので気をつけましょう。

排泄中は静かに見守り、終わって落ち着いたらたくさん褒めてあげましょう。

間違った場所でトイレをしても怒らない

猫がトイレを覚えられず、間違った場所で排泄してしまう場合もあるでしょう。

トイレと違う場所に排泄したからといって怒ると、猫は排泄したことを怒られたと勘違いしてしまいます。

排泄を我慢したり、見つけにくい場所に排泄したりするようになってしまう可能性があるので、失敗しても怒らないようにしましょう。

トイレの数は猫の数+1個が理想

トイレの数は猫の数+1個を用意するのが理想です。

猫は綺麗好きなので、排泄物やニオイが残っているとトイレを使わずに別の場所で排泄してしまうことがあります。

予備のトイレを用意しておくと、ひとつのトイレが汚れてももうひとつのトイレで排泄できるので、猫のストレスを減らすことができるでしょう。

【子猫】いつからトイレのしつけをすればいいの?

Q.子猫のトイレトレーニングはいつから始めましたか?計100人
生後1週間1人
生後2週間3人
生後3週間6人
生後4週間9人
生後5週間以降11人
トイレトレーニングはしなかった22人
子猫時代に飼っていない48人
※ウィステリア製薬調べ:猫を飼っている人100人にアンケート調査

子猫のトイレトレーニングはいつから始めたのか、猫を飼っている人100人を対象に調査してみました。

1番多かったのが「トイレトレーニングをしなかった」、次に多かったのが「生後5週間以降」という結果となりました。

子猫が自分で排泄できるようになるのは生後3〜4週間頃なので、この頃からトイレのしつけを始めることが望ましいでしょう。

生後間もない子猫は自分で排泄できないため、母猫がお尻を舐めて刺激して排泄を促します。

自分で排泄できない子猫を育てる場合は、母猫の代わりに排泄を促してあげる必要があります。

トイレの促し方
生後30日頃までガーゼやティッシュを湿らせてお尻を優しくポンポンと刺激する
排泄のタイミングミルクを飲ませる前や後に排泄させると、ミルクの飲みがよくなる子が多い
トイレのサインソワソワしたり、床のにおいをクンクン嗅いだりしたらトイレに行きたいサイン
トイレへの誘導トイレの近くにそっと連れて行き、静かに置いておく
ニオイを活用自分の排泄物のニオイがついたもの(砂、布、新聞紙など)を新しいトイレに入れておく

飼い主がトイレトレーニングで大変だったこと!

1回猫砂にしてくれるとそこでしてくれそうなものですが1発目はこたつのふとんでした。確認した限り2回目は猫砂にしてくれてそれ以来はたまに失敗する程度でそこまでひどく苦労はしなかったです。

カーペットや布団でしてしまって、洗濯が大変だった。

トイレの気配を感じたときに、その都度トイレへ連れて行くこと。

ときどきトイレトレーニングを嫌がるときがあることです。

下痢の時の砂の交換が大変だった。

猫の様子を見て、床の匂いを嗅ぐなどトイレしそうだなと思った都度猫砂の上に移動させたことが大変だった。

覚えたと安心していたら粗相をした。

なかなかトイレを覚えられない。ここで(毛布の上等)トイレをしてはいけないと理解しているようだけど、どうすればいいかわからないといった感じで困った。

※ウィステリア製薬調べ:猫を飼っている人100人にアンケート調査

トイレトレーニングを始めてもすぐにはトイレを覚えてくれず、粗相することが多いようです。

粗相の回数が増えれば飼い主の負担も増えますのでなるべく早くトイレを覚えてほしいものですよね。
実は猫がトイレを失敗してしまう原因として、飼い主側で改善できることも多いです。次章で詳しく説明していきます!

猫がトイレを失敗してしまう原因

猫がトイレを失敗するときは、さまざまなことが影響している場合があります。

ここでは、猫がトイレを失敗してしまう原因を紹介します。

泌尿器系のトラブル

膀胱炎や尿路結石、腎臓病など泌尿器系のトラブルがあると、頻尿になってトイレを失敗してしまうことがあります。

トイレの回数が多い、排泄量に異常がある、排泄後に落ち着きがないなどの症状がある場合は、動物病院を受診しましょう。

老化によるもの

老猫の場合、老化による筋力の低下、関節の痛みなどが原因となってトイレを失敗してしまうことがあります。

足腰が弱っていることでトイレが失敗してしまうときは、以下のような対策をとってみましょう。

【対策】
  • トイレのふちの高さを低くする
  • トイレのサイズを大きくする
  • 近いところに場所を変える
  • 数を増やす

老化による認知症や泌尿器系の病気が関わっている場合もあるため、老猫のトイレの失敗が目立つときは動物病院を受診しましょう。

トイレが汚い

猫がトイレを失敗してしまうのは、トイレが汚いことも原因となります。

猫は綺麗好きなので使用する度に排泄物の処理をしてあげるのが理想ですが、難しい場合は1日1回は排泄物を取り除いて清潔に保ってあげましょう。

1〜2週間に一度は猫砂を全量交換し、月に1〜2回はトイレ本体を洗いましょう。

トイレが小さすぎる

トイレが小さすぎると快適に排泄できないため、嫌がって使わないことがあります。

トイレのサイズは、猫の体長(首から尾の付け根までの長さ)の1.5倍以上が理想的です。

適切なサイズであれば、トイレの中で方向転換をしたり猫砂をかいたりしやすいため、受け入れてくれる可能性があります。

他にも、たっぷりと猫砂が入る深さがあって砂かきしやすく、入口が低めで出入りしやすいトイレを選ぶと失敗しにくいでしょう。

トイレを別の場所だと勘違いしている

いつも同じ場所で粗相をする場合は、その場所をトイレだと勘違いしている可能性があります。

排泄した場所にニオイが残っていると「ここがトイレの場所」と思ってしまうことがあるので、粗相した場所はしっかりと掃除をしてニオイを落としましょう。

猫砂の種類が合わない

使用している猫砂が気に入らないことが、トイレの失敗に繋がっている場合もあります。

猫砂は主に5種類あり、それぞれ特徴が異なります。

種類主な特徴
・軽くて扱いやすい
・処理が楽で捨てやすい
・尿の色を確認しやすい
鉱物・砂の感触に似ているため、好む猫が多い
・しっかりと固まるので掃除が楽
・抗菌・消臭に優れている
・重くて持ち運びにくい
・軽くて扱いやすい
・天然素材で安全性が高い
・抗菌・消臭効果がある
・処理が楽で捨てやすい
おから・食品が主原料で安全性が高い
・処理が楽で捨てやすい
・粒が大きく飛び散りにくい
・まれに食べてしまう子もいるので注意
シリカゲル・抗菌・消臭効果が高い
・粒が大きめで飛び散りにくい
・システムトイレで使用する

いろいろな猫砂を試して気に入る猫砂を見つけてあげると、トイレを使ってくれるようになる可能性があるでしょう。

マーキングによるもの

猫は生後3ヶ月頃から性成熟が始まると言われていて、この時期からスプレー行動と呼ばれるマーキングを行う子もいます。

スプレー行動とは自分の縄張りを主張するために壁や床に少量の尿を掛ける行為で、不適切な排泄とは異なるものです。

ですが、結局は自分の尿の匂いがついたところを次のトイレと思ってしまうので、汚れた箇所をしっかり拭き取ったと思っても、微かな匂いやフェロモンのせいで同じ所に繰り返し排泄してしまうことがあります。

一度これが癖付いてしまうと行動修正は大変なので、早めに避妊手術や去勢手術を実施することで、スプレー行動を発生させないことが重要です。

もし生後数ヶ月の猫ちゃんで、トイレの失敗以外にも大きな声で鳴いたり、家具での爪とぎが増えるようなら、これらの手術を検討してみても良いかと思います。

トイレトレーニングを成功させて快適な毎日を送ろう!

猫はトイレへのこだわりが強くてきれい好きなため、トイレが汚い、猫砂が気に入らないなどの理由で、トイレ以外の場所で排泄してしまうことがあります。

トイレのサイズや設置場所も重要なポイントです。

まずは猫がトイレで排泄しやすい環境を作り、焦らず心に余裕を持って進めていきましょう。

今回紹介したトイレトレーニングの基本的なポイントや子猫・成猫のしつけ方などを参考に、トイレトレーニングを成功させて快適な毎日を送りましょう!

ただし、トイレを失敗してしまうときは、病気が関わっている場合もあるので注意が必要です。

粗相が続く、トイレトレーニングがうまくいかないというときは、獣医師に相談することをおすすめします。

#子猫 #猫のしつけ #猫のトイレ

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