初めて猫を飼うとき、「どのくらいご飯をあげればいいのかわからない」「どんなご飯を与えればいいんだろう」と悩む人は多いものです。
猫の健康を維持するには、年齢や体型などに合わせて適切なご飯を与えることが大切です。
今回は、猫の餌の回数と量、ご飯の与え方、フードの選び方など猫のご飯に関する情報を紹介します。
- 猫の餌の回数と量
【子猫】月齢やフードに記載された給与量を目安に調整する
【成猫】一般的に1日2〜4回程度、フードに記載された給与量を目安に調整する
【肥満気味の猫】摂取しているカロリー量や適正量を把握して調整する - 猫のご飯の与え方
【生後1ヶ月頃まで】母乳か子猫用ミルクを与える
【生後1〜2ヶ月頃】母乳やミルクを減らしてフードとお水にシフトする
【生後3〜12ヶ月頃】子猫用の総合栄養食を与える
【1〜6歳頃】成猫用の総合栄養食を与える
【7歳頃〜】適切なシニア用フードを与える - ドライフードとウェットフードの違い
ドライフードは水分含有量が少なく効率よく栄養を摂取できる、ウェットフードは水分含有量が多くて効率良く水分補給ができる - 猫用フードの選び方
年齢・体型・健康状態から選ぶ - 猫にご飯を与える際の注意点
与えてはいけないもの、たくさん与えてはいけないものを把握しておく
石川 愛美
日本獣医生命科学大学獣医学部 卒業
予防獣医療を専門とする動物病院を2019年に開設。
「病気になる前に」をテーマに掲げ、健康寿命を延ばすための活動を実施。
また、事業会社向けコンサルティングや専門学校講師、記事執筆、勉強会等も行っている。
石川先生の監修した記事一覧
https://woofwoof.jp/specialist/specialist-1213/
猫の餌の回数と量
猫に餌を与えるときは、適切な回数や量で与えることが大切です。
子猫、成猫、肥満気味な猫ごとに、餌の回数と量を紹介します。
子猫の餌の回数と量
餌の回数や量は成長具合や体重によって変わるため、猫の様子を見ながら調整しましょう。
子猫は胃が小さく一度に食べられる量が少ないので、1日の総量を分けて与えます。
個体差がありますが、生後4ヶ月頃までは4〜8回程度、6ヶ月頃までは1日3〜4回、6ヶ月目以降は1日2〜3回程度に分けてあげるのが目安です。
子猫の餌の量は、フードのパッケージに記載された給与量を目安にしましょう。
成猫の餌の回数と量
成猫の餌の回数は、一般的に1日2〜4回程度が目安です。
餌の量はパッケージに記載された給与量を参考にして、猫の様子を見ながら調整しましょう。
活発な猫は1.5倍程度、妊娠期の猫は2倍程度の量が目安になります。
肥満気味の猫の場合
肥満気味の猫の場合、まずは摂取しているカロリー量や適正量を把握して調整することが大切です。
与える量を急に減らすとストレスになりやすいため、一回の量を減らして回数を増やしたり、量は減らさずに低カロリーフードに変更したりすると良いでしょう。
肥満気味に猫には、おやつを与え過ぎないことも注意しましょう。
猫の肥満度の判断は、体重と「ボディコンディションスコア(BCS)」で判断します。
猫の適正体重は1歳頃の体重が基準になり、適正体重の10〜20%以上で肥満気味、20%以上で肥満の可能性があります。
「ボディコンディションスコア(BCS)」は見た目や触ったときの感覚で体型を5段階に評価するものです。
肥満かわかりにくい場合は、獣医師に相談して判断してもらいましょう。
【年齢別】猫のご飯の与え方
ここでは、年齢別に猫のご飯の与え方を紹介します。
年齢 | 段階 | フードの種類 | ポイント |
---|---|---|---|
生後1ヶ月まで | 授乳期 | 母乳または子猫用ミルク | 母乳は免疫抗体豊富 子猫用ミルクは粉末または液体タイプ |
生後1〜2ヶ月 | 離乳期 | 母乳/子猫用ミルク + 子猫用ウェットフード/ドライフード(ふやかす) | 母乳/ミルクの量を減らし、フードにシフトしていく |
生後3〜12ヶ月 | 成長期 | 子猫用総合栄養食 | 体の成長に必要なエネルギーと栄養を摂取 |
生後10〜12ヶ月 | 成長期後半 | 子猫用フード → 成猫用フードへ | 個体差あり 徐々に成猫用フードへ移行 |
1〜6歳 | 成猫期 | 成猫用総合栄養食 | バランスの良い食事を心がける 肥満に注意 |
7歳頃〜 | シニア期 | シニア用フード | 運動量減、基礎代謝低下に配慮 タンパク質、脂質、カロリーに注意 |
生後1ヶ月頃まで(授乳期)の与え方
生後1ヶ月頃までは、母乳か子猫用ミルクを与えます。
母乳は高脂肪・高タンパクで子猫に必要な免疫抗体を与えてくれるため、母猫がいる場合はなるべく母乳を与えましょう。
子猫用ミルクは、粉末タイプや液体タイプなどがあります。
生後1〜2ヶ月頃(離乳期)の与え方
生後1〜2ヶ月頃になると、ミルク以外の食べ物にも興味を持ち始めます。
母乳やミルクの量を徐々に減らしていき、子猫用ウェットフードや子猫用ドライフードをぬるま湯でふやかしたものを与えて、フードとお水にシフトしていきましょう。
生後3〜12ヶ月頃(成長期)の与え方
生後3〜12ヶ月頃は体の機能が発達し、体が大きくなっていく時期です。
多くのエネルギーと栄養が必要となるため、子猫用の総合栄養食を与えましょう。
個体差がありますが、生後1年〜1年半を過ぎたら成猫期になります。
生後10〜12ヶ月頃までは子猫用のフードを与え、徐々に成猫用フードにシフトしていきましょう。
1〜6歳頃(成猫期)のご飯の与え方
1〜6歳頃は、成猫用の総合栄養食で必要な栄養をバランス良く摂らせることが大切です。
好みに合う一般食(副食)やおやつを与えても良いですが、肥満になりやすい時期でもあるため、カロリーの摂り過ぎに注意しましょう。
7歳頃〜(シニア期)のご飯の与え方
7歳頃を過ぎると、運動量が減って基礎代謝が低下してきます。
さまざまな病気のリスクが高まる時期なので、タンパク質、脂質、カロリーの摂り過ぎは注意が必要です。
猫の健康状態に合わせて、適切なシニア用フードを与えましょう。
咀嚼力や消化機能が低下している場合は、ウェットフードやドライフードをふやかしたものを与えるのがおすすめです。
【キャットフード】ドライフードとウェットフードの違い
キャットフードには、主にドライフードとウェットフードの2タイプがあります。
ドライフードとウェットフードの違いをチェックしてみましょう。
特徴 | ドライフード | ウェットフード |
---|---|---|
水分含有量 | 約10% | 約80-90% |
食感 | カリカリ | じゅくっとした食感 |
カロリー (※同量を比べた場合) | 高カロリー | 低カロリー |
栄養バランス | 栄養バランスが良く凝縮されている | 素材の味を生かした栄養 |
メリット | ・歯垢や歯石がつきにくい ・顎を鍛えられる ・ウェットフードより安価 ・常温で長期保存可能 ・開封後も保存性が高い | ・効率的に水分を摂取できる ・口や歯の異常がある猫やシニア猫でも食べやすい ・風味が良く、食欲を刺激しやすい |
デメリット | ・水分摂取量が不足する可能性がある ・消化不良を起こしやすい | ・保存性が低く、傷みやすい ・ドライフードより高価 |
ドライフードの特徴
ドライフードは水分含有量が10%程度で、カリカリとした食感で噛みごたえがあるのが特徴です。
栄養バランス良く凝縮されていて、ウェットフードと比べると同じ重量あたりのカロリーが大きいため、効率よく栄養を摂取できます。
他にも、
- 歯垢や歯石がつきにくい
- 顎を鍛えられる
- ウェットフードと比べると安価
- 常温で長期保存可能
といったメリットがあります。
開封後も保存性が高いため、食器に入れたまま出しておくことが可能です。
留守にすることが多い家庭なら、ドライフードが扱いやすいでしょう。
ウェットフードの特徴
ウェットフードは水分含有量が80〜90%程度で、素材の味や食感を生かしているのが特徴です。
風味が良く食欲を刺激するので、食いつきが良くなりやすいです。
他にも、
- 効率的に水分を摂取できる
- 口や歯の異常がある猫や、ドライフードが食べにくくなったシニア猫でも食べやすい
- ドライフードと比べると低脂肪・低カロリー
といったメリットがあります。
保存性が低く開封後は傷みやすいので、食べ残したときは早めに処分しましょう。
猫用フードの選び方
猫用フードは年齢で選ぶのが基本ですが、体型や健康状態を考慮することも大切です。
それぞれのポイントを押さえておきましょう。
年齢から選ぶ
キャットフードは子猫用、成猫用、シニア猫用があり、年齢別に種類が分かれています。
それぞれ年齢に合わせた栄養バランスや成分で作られているため、フードを購入する際はパッケージに記載されている適正年齢を確認しましょう。
体型から選ぶ
猫のフードには、体型に合わせて栄養やカロリー、嗜好性などを工夫しているものがあります。
肥満体型なら低カロリーのフードやダイエット用のフード、痩せ型なら脂質が多く食いつきが良くなるように配慮されたフードなど、体型に適したフードを選びましょう。
健康状態から選ぶ
アレルギーがある、歯垢や歯石が気になる、胃腸が弱い、毛艶が悪いなど悩みがあるときは、ケア目的のフードを選ぶと良いでしょう。
腎機能や関節、泌尿器などの健康維持に特化したフードもあるので、健康状態に合わせて選びましょう。
猫にご飯を与える際の注意点
人間が食べているものの中には、猫に与えると健康状態を悪くさせるものがあります。
なかには、命にかかわるものもあるため、猫にフード以外のご飯を与えるときは注意が必要です。
猫に与えてはいけないもの、たくさん与えてはいけないものを確認しておきましょう。
与えてはいけないもの
猫に与えてはいけないものには、以下のようなものがあります。
食品名 | 与えてはいけない理由 |
---|---|
ネギ類 | 血尿・下痢・嘔吐などの中毒症状を招く |
青魚(生) | 黄色脂肪症を引き起こす可能性がある |
イカ・エビ・カニ・タコ | 生のもの:ビタミンB1欠乏症を招く 加熱したもの:消化不良を招く |
生卵の白身 | ビオチン欠乏症を招く |
チョコレート | 嘔吐・下痢などの中毒症状を招く |
ブドウ・レーズン | 嘔吐・下痢・元気がなくなるなどの中毒症状を招く 急性腎不全を招く |
鶏の骨 | 消化管や内臓を傷つける |
アボカド | 嘔吐・下痢・呼吸困難などの中毒症状を招く |
ナッツ | 下痢・嘔吐などの中毒症状を招く |
キシリトール (人工甘味料) | 嘔吐・下痢・痙攣などの中毒症状を招く 低血糖や急性肝不全を招く |
猫に食物アレルギーがある場合は、アレルギーを含む食べ物は避けましょう。
たくさん与えてはいけないもの
猫にたくさん与えてはいけないものには、以下のようなものがあります。
食品名 | たくさん与えてはいけない理由 |
---|---|
塩分の多いもの | 心臓や腎臓の病気のリスクを高める 中毒症状を引き起こす |
牛乳 | 消化不良を招く 尿石症のリスクを高める |
かつおぶし | 尿路結石を引き起こす 腎臓の機能を低下させる |
まぐろ | 黄色脂肪症、水銀中毒、チアミン欠乏症などを招く |
バナナなど糖分の多い果物 | 肥満の原因になる |
猫のご飯を正しく与え健康を管理していこう!
ライフステージによって、それぞれ必要な栄養やカロリーは異なります。
猫に与える餌は健康に大きく影響するため、年齢や体型、健康状態に合ったものを適切な回数や量で与えることが大切です。
猫のフードは種類が多いため、愛猫に適したフードがわからない場合はかかりつけの獣医師に相談しましょう。
今回紹介した情報を参考に、猫のご飯を正しく与え健康を管理していきましょう。
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