猫とスキンシップをしているときやあくびをしたとき、猫の口のニオイが気になったことはありませんか?

口臭は一時的なもので、原因に合った対処法を行えば改善することがあります。

しかし、なかには病気が関係している場合もあるため、猫の口が臭いときは油断禁物です。

今回は、猫の口が臭い原因、考えられる病気、口臭を改善する方法について詳しく解説します。

監修医師 ろろの犬猫食堂  獣医  栗山 宏美
栗山 宏美

栗山 宏美

麻布大学獣医学部獣医学科卒業
動物病院で3年間臨床医として勤務

現在は臨床医として働きながら保護猫活動のための診療施設ろろの猫部屋を開業
同時に栄養学専門獣医師として手作り食のレシピ設計や監修を行うろろの犬猫食堂を運営

<この記事でわかること>
  • 猫の口が臭い原因:歯磨きをしていない、人間の食べ物を食べた、老化、口の乾燥、病気
  • 猫の口臭で考えられる病気:口内炎、歯周病、腎臓病、糖尿病、胃炎や食道炎、口腔内腫瘍、尿毒症
  • 猫の口臭を改善する方法:歯磨き、食べ物の見直し、水分補給、デンタルケアアイテムを取り入れる
目次

【アンケート結果】猫の口が臭いと感じた事のある人は7割越え!

Q.猫の口がくさいと感じたことはありますか?計100人
ある74人
ない26人
※ウィステリア製薬調べ:猫を飼っている人100人にアンケート調査

愛猫の口がくさいと実際に感じたことのある人がどのくらいいるのか、猫を飼っている人100人を対象に調査したところ、なんと7割以上の飼い主がくさいと感じたことがあると回答する結果となりました。

では、実際に口臭を感じた際に飼い主はどのように対処したのでしょうか?

猫の口がくさいと感じた人の多くは口臭ケア商品を取り入れている

Q.猫の口がくさいと感じた人はどのように対処しましたか?計74人
口臭ケア商品を取り入れた19人
歯磨きを徹底した16人
食べ物を見直した16人
しっかりと水分を摂るようにした14人
動物病院で相談した7人
特に何もしなかった1人
ストレスを発散させた1人
※ウィステリア製薬調べ:猫を飼っている人100人にアンケート調査

猫の口がくさいと感じた際、飼い主の対応として多かったのが「口臭ケア商品を取り入れた」でした。
次いで「歯磨きを徹底した」、「食べ物を見直した」という結果になっています。

猫の口がくさいと感じた場合、どのような原因で口臭が発生しているのかを知ることが改善への近道です。

一時的な対処はできたとしても、口臭を繰り返してしまったり、悪化してしまったりする恐れもあります。

次章からは原因別の正しい対処法について詳しく説明していきます。

猫の口が臭い5つの原因

猫の口が臭いときは、どのような原因が考えられるのでしょうか。

ここでは、猫の口臭の主な原因を紹介します。

歯磨きをしていない

口臭の原因として考えられるのが、歯磨きをしていないことです。

猫は人より歯垢が溜まりやすく、7〜10日程度で歯石になるといわれています。

歯石になると歯磨きでは除去できないため、毎日歯磨きをすることが大切です。

人間の食べ物を食べた

猫の口が臭いときは、人間の食べ物を食べた可能性もあります。

人の食べ物は味が濃くてニオイがきついものがあるため、猫が食べると口臭の原因となります。

老化によるもの

年齢を重ねるにつれて、口臭が強くなることも少なくありません。

老化に伴い、歯石が溜まったり、病気にかかったりすることが口臭が悪化する要因になります。

口の乾燥によるもの

口の乾燥(ドライマウス)も口臭の原因のひとつです。

猫はたくさん水を飲まなくても生きていけるため、積極的に水分を摂らないことが多いです。

そのため、口の中が乾燥して細菌が繁殖しやすい環境になり、口臭につながることがあります。

病気によるもの

口腔内の病気や内臓疾患などの影響で、口臭が発生しているケースもあります。

病気が原因の場合は検査や治療が必要となるため、早めに動物病院を受診しましょう。

【猫の口臭】考えられる病気

ここでは、猫の口臭があるときに考えられる病気について解説します。

それぞれの病気の特徴や口臭以外の主な症状を紹介しますので、異変を感じたら早めに獣医師に相談しましょう。

口臭の特徴考えられる病気主な症状予防方法受診の目安
生臭い口内炎口の痛み、よだれが多い、口から血が出る、食欲不振、元気がない、体重減少定期的な口腔ケア、免疫力向上口臭が強い、口の中が赤く腫れている、食事を嫌がる、体重が減る
生ゴミの腐ったような歯周病歯ぐきの腫れ、歯の黄ばみ、歯ぐきからの出血、歯がぐらつく、食欲不振定期的な歯磨き、デンタルケアフード歯ぐきの腫れや出血が続く、歯がグラグラする、口臭が改善しない
アンモニア臭腎臓病元気がない、下痢、嘔吐、多飲多尿、脱水症状定期的な健康チェック、適切な食事元気がない、食欲不振が続く、体重が減る、おしっこの量や回数が増える
甘酸っぱい糖尿病多飲多尿、体重減少、食欲不振、嘔吐、毛艶が悪くなる適切な食事管理、運動多飲多尿が続く、体重が減る、食欲不振が続く
便やおなら、納豆のような胃炎、食道炎嘔吐、下痢、食欲不振、脱水症状誤飲誤食の防止嘔吐や下痢が続く、食欲不振が続く、体重が減る
腐ったような口腔内腫瘍口の粘膜の赤み、食事を食べにくそう、よだれが多い、舌が出ている、口から血が出る定期的な口腔ケア、早期発見口腔内に異常がある、食欲不振が続く、体重が減る、口から血が出る
アンモニア臭尿毒症多飲多尿、食欲不振、体重減少、ぐったり、嘔吐原疾患の治療尿毒症の症状が見られる、意識がもうろうとしている、呼吸が苦しそう

口内炎

生臭いような口臭がするときは、口内炎の可能性があります。

口内炎は口の中の粘膜に炎症を起こす病気です。

ウイルス感染症や細菌感染、免疫反応などが要因とされており、発症すると強い痛みが出ます。

【口臭以外の主な症状】

よだれが多い、口から血が出る、食べ物をこぼす、食欲がない、元気がない、体重が減る、食事中やあくびの際に悲鳴を上げる、攻撃的になるなど

歯周病

生ゴミの腐ったような口臭がするときは、歯周病の可能性があります。

歯周病は歯ぐきや骨に炎症を起こす病気です。

猫の歯の病気でもっとも発症することが多く、3歳以上の猫の80%が歯周病にかかっているといわれています。

歯に付着した歯垢や歯石が要因となり、歯肉炎、歯周炎(歯槽膿漏)、歯根膿瘍と進行し、次第に症状も重くなります。

【口臭以外の主な症状】

歯が黄ばんでいる、歯ぐきが腫れている、よだれが多い、食欲がない、歯ぐきから血や膿が出る、歯がぐらつくなど

腎臓病

アンモニア臭のような口臭がするときは、腎臓病の可能性があります。

腎臓病は腎臓の機能が低下し、血液中に老廃物などが溜まってさまざまな不調が起こる病気です。

猫は腎臓病になりやすく、命に関わるケースが多いので注意しましょう。

【口臭以外の主な症状】

元気がない、下痢、嘔吐、脱水症状など

糖尿病

甘酸っぱいような口臭がするときは、糖尿病の可能性があります。

糖尿病は膵臓の機能が低下し、血糖値が上がることで起こる病気です。

不適切な食事や肥満、ウイルス感染、膵炎などが原因とされ、7〜8歳以降の猫は糖尿病になりやすいといわれています。

【口臭以外の主な症状】

水をよく飲んでおしっこの量が増える(多飲・多尿)、食欲がない、体重が減る、嘔吐、毛艶が悪くなるなど

胃炎や食道炎

便やおなら、納豆のような口臭がしているときは、胃炎や食道炎の可能性があります。

胃や食道の粘膜に炎症が起きている状態で、誤飲誤食が原因のひとつです。

【口臭以外の主な症状】

嘔吐、下痢、食欲がない、脱水症状など

口腔内腫瘍

口腔内腫瘍によって口腔内に炎症が起こると、急に腐ったような口臭が発生することがあります。

猫の口腔内腫瘍では、進行が早い『扁平上皮がん(へんぺいじょうひがん)』を発症することが圧倒的に多いです。

高齢の猫で口腔内に異変があるときは、口腔内腫瘍の疑いがあるのですぐに獣医師に相談しましょう。

【口臭以外の主な症状】

口の粘膜の赤み、食事を食べにくそうにしている、よだれが多い、舌が出ている、口から血が出るなど

尿毒症

尿毒症は、何らかの理由で尿から老廃物が排泄されなくなり、不調が起こる病気です。

腎臓の機能低下、泌尿器系や心臓の病気などが原因となります。

尿毒症が進行すると、アンモニアのような口臭がします。

【口臭以外の主な症状】

水をよく飲んでおしっこの量が増える(多飲・多尿)、食欲がない、体重が減る、突然ぐったりとする、嘔吐など

自宅でできる!猫の口臭い症状を改善する方法

病気以外の理由で口が臭いときは、生活習慣を見直すと改善する可能性があります。

ここからは、自宅でできる口臭対策方法を紹介します。

歯磨きを習慣づける

猫は歯垢や歯石が溜まりやすいため、毎日歯磨きをして口の中を清潔に保ちましょう。

ペット用歯ブラシを使い、歯周ポケットに毛先が入るように45度の角度で歯に当て、毛先を小刻みに動かして優しく磨きます。

まずは指で口周りや歯や歯ぐきに触れること、歯磨きシートやガーゼで歯の汚れを拭き取ることから慣れさせると、歯磨きを始めやすくなります。

歯磨き嫌いになってしまうとケアが難しくなるので、少しでも嫌がったらやめてあげて、時間をかけて慣れてもらいましょう。

食べ物を見直してみる

ウェットタイプのキャットフードは、歯垢や歯石がつきやすいといわれています。
口臭が気になるときは、ドライタイプのキャットフードに変えてみると改善する可能性があるでしょう。

すでにドライフードを与えている場合は、ニオイが強くないフードに変更するのが有効な方法です。

急にフードを変えるとお腹を壊したり食べなくなったりする可能性があるため、今まで食べていたフードに新しいフードを混ぜて、徐々に量を増やして切り替えていきましょう。

しっかりと水分補給をする

水分不足は口の乾燥だけでなく、泌尿器系や腎臓の異常、脱水症状につながることがあるため、しっかりと水分補給ができるようにしてあげましょう。

猫に水分を摂ってもらうには、新鮮な水を用意したり、水飲み場を増やしたりするのが効果的です。

蛇口から落ちる水を飲むのが好きなら、ノズル式の給水器を使うと積極的に水を飲んでくれるかもしれません。

どうしても水を飲まないときは、魚や鶏肉の茹で汁を混ぜたり、ゼリーやスープなどで食事から水分補給をさせたりするのも良いでしょう。

デンタルケアアイテムを取り入れる

口臭対策に役立つデンタルケアアイテムを取り入れるのもおすすめの方法です。

飲み水に混ぜる液体歯磨き、噛んでケアする歯磨きおやつ、ご飯にふりかけるサプリなどさまざまな商品があるので、うまく取り入れると口の健康を守ることができます。

歯磨きを嫌がってしまうときにも、デンタルケアアイテムを活用すると良いでしょう。

【猫の口臭】獣医師が伝えたいこと!

猫の口が臭いときは、生活習慣や食事、病気などさまざまな原因が考えられるため、原因に合わせて対策をとる必要があります。

デンタルケア不足や食事の影響で口臭がするなら、日常的なケアで改善する可能性があるでしょう。

また、お口のトラブルは口だけに留まらず全身の健康状態に関わることもあります。

前述したように、猫では口内炎が原因で腎臓病を引き起こすことがあるほどです。

今回の記事で紹介した自宅でできる改善方法を参考にして、愛猫のケアを実践してみてください。

口臭の原因が病気の場合は、専門家に診てもらい、適切な治療をすることが大切です。

愛猫のしぐさや普段の様子、食事量、口の中の状態などを確認して、口臭以外に気になる症状があるときは早めに動物病院を受診しましょう。

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