猫が突然ご飯やフードを食べなくなったとき、原因がわからずに不安になってしまうこともあるでしょう。

猫が食欲がないのは病気の症状の可能性もあるため、放置しすぎるのは注意が必要です。

今回は、猫がご飯を食べない原因や様子をみても良い時間の目安、チェックすべき症状、対策方法について詳しく紹介します。

監修医師 あおば動物クリニック   牧村 さゆり
牧村 さゆり

牧村 さゆり

日本大学 生物資源科学部 獣医学科 卒業

神奈川県、沖縄県、東京都の動物病院に勤務

現在は埼玉県の動物病院に勤務する傍ら、東京都にて往診専門動物病院を開業

牧村先生の監修した記事一覧
https://woofwoof.jp/specialist/specialist-1225/

<この記事でわかること>
  • 猫がご飯を食べない5つの原因:ご飯やフードに飽きた、病気、ストレス、老化、発情期
  • 猫がご飯食べないときに様子をみても良い時間:【生後1ヶ月~2ヶ月】8時間以上【生後2ヶ月~3ヶ月】12時間以上【生後3ヶ月~4ヶ月】16時間以上【1歳以上】24時間以上
  • 食欲不振の際にチェックすべき症状:水を飲む量が増えた、元気がない、嘔吐がある、排尿がない、おやつは食べる
  • フードを食べない際の対策方法:ご飯を温める、運動量を増やす、おやつを減らす、ご飯のあげ方を変える、食感を変える
目次

猫がご飯を食べないといった経験をしたことがある飼い主は約7割!

Q.猫がご飯を食べないといった経験をしたことはありますか?計100人
ある72人
ない28人

※ウィステリア製薬調べ:猫を飼っている人100人にアンケート調査

猫がご飯を食べないといった経験をしたことがある人はどのくらいいるのか、猫を飼っている人100人を対象に調査したところ、なんと約7割以上の飼い主が「経験したことがある」と回答する結果となりました。

では、猫がご飯を食べなかった際に飼い主はどのように対処したのでしょうか?

猫がご飯を食べない時はどのように対処しましたか?

Q.猫がご飯を食べない時どのように対処しましたか?計72人
キャットフードやご飯を変えてみた35人
おやつやチュールと一緒にあげた11人
病院へ連れて行った11人
キャットフードやご飯を温めた5人
おやつをやめた3人
トッピングをプラスした3人
何もしなかった2人
薬を与えた1人
運動をさせた1人

※ウィステリア製薬調べ:猫を飼っている人100人にアンケート調査

猫がご飯を食べない時は、「キャットフードやご飯を変えてみた」といった回答が35人と最多でした。
ドライフードからウェットフードへ切り替えたり、手作りのご飯を取り入れたりする飼い主が多いようです。

次に「おやつやチュールと一緒にあげた」、「病院へ連れて行った」という回答が11人ずつとなっています。

さまざまな方法を試しても解決策が見出せない場合は、動物病院にて獣医師に相談することをおすすめします。

食欲がない時は別の病気が隠れていることもあります。
早めの受診により病気の進行を抑えることもできますので、悩まず相談しましょう。

猫がご飯を食べない5つの原因

猫がご飯を食べないのは、食事、病気、ストレスなどさまざまな原因が考えられます。

ここでは、猫がご飯を食べない5つの原因を紹介します。

ご飯やキャットフードに飽きた

ご飯やフードを食べないときは、いつも食べているものに飽きてしまった可能性があります。

「昨日美味しそうに食べていたのに、今日は全く口をつけない」といったことも珍しくありません。

他にも、食事に関わることでは、以下のようなことが原因になります。

【猫がご飯を食べない原因】
  • フードが好みに合わない(新しいフードに変えた場合)
  • 食器が汚れている
  • 食器が食べにくい
  • 落ち着いて食事ができる環境ではない
  • 前食の量が多くてお腹が空いていない
  • トッピングをしてもらいたくて待っている
  • 冷たくて(または熱くて)食べにくい

病気によるもの

口腔内や消化器系、泌尿器系の病気、ウィルス感染症など、食欲不振の症状が現れる病気はたくさんあります。

ご飯やフードを食べないときは、口の中が痛い、内臓に不快感がある、熱があるなどの不調によって食欲不振になっている場合もあるでしょう。

ご飯やフードを食べない以外に、他の症状があるか確認することが大切です。

【食欲不振の症状が出る病気の例】

口腔内の病気口内炎・歯周病など
消化器系の病気胃腸炎・腸閉塞・胃捻転・巨大結腸症・便秘など
泌尿器系の病気慢性腎不全・膀胱炎など
感染症猫ウィルス性鼻気管炎・猫エイズ・猫白血病など
その他肺炎・熱中症・異物の誤飲・認知症・悪性腫瘍など

ストレスによるもの

ストレスが原因で食欲がなくなってしまうこともあります。

例えば、以下のようなことが、ストレスの要因になります。

【猫のストレスの要因】
  • 引っ越しや模様替えをした
  • 新しいペットを飼い始めた
  • 赤ちゃんが産まれた
  • 急激な気温の変化
  • トイレの近くに食器を置いている
  • 健康診断で動物病院に連れて行った
  • 騒音がする

ストレスになるようなことがあるなら、原因を解消する、なるべくリラックスできる環境を作るなど対策をとってあげましょう。

老化によるもの

シニア猫の場合、ご飯やフードを食べないのは老化が原因の可能性があるでしょう。

年を重ねると、運動量、消化機能、噛む力の低下などによって食べる量が減ることがあります。

嗅覚が衰えて食べ物の香りが分かりにくくなっていたり、関節に痛みがあって首を下げて食べるのが辛くなっていたりする場合も考えられます。

発情期で食欲が減退しているから

発情期の猫は食欲が減退して、ご飯やフードを食べないことが多いです。

避妊・去勢手術をしていないなら、発情期を迎えている可能性があるでしょう。

以下のような行動がある場合は、発情期のサインと考えられます。

オス猫メス猫
・落ち着きがなくなる
・大きな声で鳴く
・尿をスプレー状にかける攻撃的になる
・しつこく甘えてくる
・普段とは違う声で鳴く
・背中を床につけて何度も体をくねる
・お尻を高く持ち上げる
・尿をスプレー状にかける

猫がご飯食べない時どのくらい様子をみる?

猫がご飯を食べないときは、月齢や年齢によって様子を見る時間は異なります。

食欲不振と判断する際の目安をチェックしておきましょう。

食欲不振と判断する際の目安

食欲不振と判断する際の目安は、以下の通りです。

月齢・年齢食べない時間
1ヶ月~2ヶ月8時間以上
2ヶ月~3ヶ月12時間以上
3ヶ月~4ヶ月16時間以上
1歳以上24時間以上

他の症状がない場合でも、食べない時間が長く続くときは何かしら体調の異変が起きている可能性が考えられます。

目安を参考にして、長時間ご飯やフードを食べない場合は早めに動物病院を受診しましょう。

食欲不振の際にチェックすべき症状

食欲不振になっているときは、以下のような症状がないかチェックしてみましょう。

水を飲む量が増えた

水を飲む量が増えている場合は、脱水症状や腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進(こうしん)症などの病気が原因の可能性があります。

体重1kgあたり60ml以上の水を飲んでいる場合は要注意です。

元気がない

人がいない部屋でじっとしている、いつものように遊ばない、動きが鈍いなど、元気がないときは体調に異変が起きている可能性があります。

嘔吐がある

猫が嘔吐することはよくありますが、頻繁に続く、何も出ないのに吐く仕草をする、嘔吐物に血液が混じっているといった場合は、内臓や消化器系の病気の可能性があります。

異物を飲み込んでしまっている恐れもあるため、早めに動物病院を受診しましょう。

排尿がない

食欲の低下と併せて排尿がない場合、尿路閉塞や腎不全などの病気の可能性があります。

緊急性が高い状態なので、早めに動物病院を受診しましょう。

おやつは食べる

ご飯を食べないけどおやつは食べる場合、1日にどのくらい与えているかチェックしてみましょう。

おやつを与えすぎていると、ご飯やフードを食べなくなることがあります。

猫がキャットフードを食べない際の対策方法

食事環境や生活習慣が原因でキャットフードを食べない場合は、日常生活の中で対策できることがあります。

ここでは、5つの対策方法を紹介します。

ご飯を温める

猫は温かい食べ物を好む傾向があるため、ご飯が冷たいと食べないことがあります。

温めると食べ物の香りが立って食いつきが良くなることも多いので、38℃前後を目安に電子レンジなどで温めてみましょう。

運動量を増やす

運動すると食欲が増したりストレス解消になったりするため、運動量を増やすと食べるようになる場合があります。

猫じゃらしやおもちゃを使って遊ぶ、キャットタワーを設置するなど、体を動かす環境を作ってあげましょう。

おやつを減らす

おやつの与えすぎはご飯を食べなくなる原因になり、栄養の偏りや肥満を招きます。

おやつを与えすぎている場合は、減らすようにしましょう。
おやつの適正量は、1日に必要なエネルギーの20%以内とされています。

パッケージに記載された適正量やカロリーを参考にしたり、獣医師と相談したりして、1日に与える量を決めておきましょう。

ご飯のあげ方を変える

食事環境が原因なら、ご飯のあげ方を変えると食べるようになる可能性があります。

例えば、ご飯のあげ方の対策方法には以下のようなものがあります。

【ご飯のあげ方の対策】
  • 1回の量が多くてお腹がいっぱい→1回の量を減らして回数を増やす
  • 食器が原因→清潔な食器を使う、猫が食べやすいものに変える
  • ご飯の置き場所が悪い→トイレや騒がしい場所など、猫が嫌がるところに置かない

猫の様子を確認して、原因に合わせた対策をとってみましょう。

種類・食感を変える

飽きて食べなくなったなら、味や食感を変えてあげると食べるようになる可能性があるでしょう。

魚味から肉味に変える、ドライフードからウェットフードに変える、ドライフードをふやかすなど、好みに合わせて工夫しましょう。

猫がご飯を食べない原因ごとに対策していこう!

猫がご飯やフードを食べなくなる理由はさまざまで、原因が分かりにくい場合もあります。

まずは、病気の可能性がないかチェックしてみましょう。

他に症状がある、目安時間を超えているといった場合は、早めに動物病院を受診することをおすすめします。

病気ではなく日常生活の中に原因がある場合は、猫がご飯をとりやすいように工夫すると良いでしょう。

猫の様子を確認して、ご飯を食べない原因ごとに対策してあげましょう。

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