飼い主や他の人、犬、ぬいぐるみなどの対象にしがみつき、自分の腰を押し付けたり振ったりする行動を『マウンティング』と呼びます。
マウンティングは性的行動のイメージがありますが、マウンティングをするのにはさまざまな理由が考えられます。
また、他の犬や人に対してマウンティングを行う場合は、トラブルに発展する恐れがあるので注意が必要です。
今回の記事では、対象別に犬がマウンティングする理由、マウンティングによって起こる恐れのあるトラブル、マウンティングをやめさせる方法を詳しく解説します。
獣医師 福ちゃん
大きな病院にも小さな病院にも勤務経験あり
獣医師として働きながらインスタグラマーとして
犬猫の情報発信中
- 犬がマウンティングする理由:発情している、ストレスが溜まっている、遊んでほしい、独占したい、病気が隠れている、上下関係を示してる
- 犬のマウンティングが続くことによる弊害:他の犬に危害を与える可能性、病気を招く可能性
- 犬のマウンティングをやめさせる方法:動物病院で相談、去勢手術を行う、過剰反応しない、犬の気を逸らしてマウンティングの対象から離す、こまめにストレス発散させる
- 女性にマウンティングするのはなぜか
- マウンティングした場合叱っても良いのか
犬のマウンティングを経験したことがある人は約8割!
Q.犬のマウンティングを経験したことはありますか? | 計100人 |
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ある | 79人 |
ない | 21人 |
※ウィステリア製薬調べ:犬を飼っている人100人にアンケート調査
犬のマウンティングを経験したことのある人がどのくらいいるのか、実際に犬を飼っている人100人を対象に調査したところ、なんと約8割の飼い主が「経験がある」と回答する結果となりました。
では、実際に犬がマウンティングをした際、飼い主はやめさせたのでしょうか?
犬がマウンティングをした際はやめさせた飼い主が多い
Q.犬がマウンティングした際、やめさせましたか? | 計79人 |
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やめさせた | 60人 |
やめさせなかった | 19人 |
※ウィステリア製薬調べ:犬を飼っている人100人にアンケート調査
「犬がマウンティングをした際やめさせましたか?」という質問に対し「やめさせた」と答えた人がほとんどでした。
マウンティングが続くことでさまざまな弊害が発生するのも事実ですが、実際犬にとってはどのように対処するのが良いのでしょうか。
これらの疑問を獣医師に確認してきましたので、後ほどご紹介します。
【対象別】犬がマウンティングする理由
犬はどうしてマウンティングをするのでしょうか。
ここでは、対象別に、犬がマウンティングする理由を紹介します。
【人や犬、物】発情しているから
オス犬がメス犬にマウンティングしたがるときは、発情していている可能性があります。
ホルモンのバランスと関連して、発情期のメス犬がマウンティングをすることもあります。
性衝動でマウンティングするのは正常な本能行動であるため、行為自体は悪いことではありません。
【人、犬、物】ストレスが溜まっている
犬はストレスが溜まっているとき、物に対してマウンティングをすることがあります。
個体差がありますが、ストレスの主な要因は運動不足や飼い主とのコミュニケーション不足、環境の変化などです。
「家に知らない人が来た」「動物病院に行った」など、不安や怒りを感じたときも落ち着くためにマウンティングをすることがあります。
また、退屈を感じているときも、物に対してマウンティングをします。
【飼い主や人】遊んでほしいから
飼い主や人にマウンティングをする場合、遊んでほしい気持ちを表現している可能性があります。
犬がマウンティングをしたときに人が騒いだり撫でたりすると、「構ってくれた」「褒めてくれた」と勘違いして繰り返すことがあります。
また、遊んでいるときにマウンティングされた場合は、嬉しさや楽しさから興奮していることが考えられるでしょう。
楽しくて興奮すると、ぬいぐるみやクッションなど物に対してマウンティングをするケースも少なくありません。
【物(ぬいぐるみやクッション)や人】独占したいから
お気に入りの物や家族に対して行う場合は、独占したいからという理由が考えられます。
例えば、愛犬のお気に入りのおもちゃに触ろうとしたときにマウンティングをしたなら、「自分だけのもの」「誰にも取られたくない」という気持ちがあるのでしょう。
独占欲でマウンティングをしているときに近づくと、取られると思って威嚇したり吠えたりすることがあります。
最悪の場合、噛みつく恐れがあるので注意が必要です。
【人、犬、物】病気が隠れている
犬がマウンティングするとき、病気が隠れている場合もあります。
特に、皮膚や泌尿器のトラブルによって、痒みや違和感があるとマウンティングをすることがあります。
【犬】上下関係を示したいから
他の犬に対してマウンティングをするのは、自分の方が強いことを主張して、上下関係を示したいという理由のことも稀にあります。
犬のマウンティングが続くとトラブルの原因に!
犬のマウンティングがクセになると、他の犬や人に迷惑をかけたり、愛犬自身の健康に悪影響を与えたりすることがあります。
犬のマウンティングが続くと、どのようなトラブルの原因を招くのか確認してみましょう。
他の犬や人に危害を加える可能性
マウンティングをするクセがあると、突然他の人に飛びついて服を汚してしまったり、転ばせて怪我をさせてしまったりする可能性があるでしょう。
他の犬に対してマウンティングした場合は、喧嘩に発展して怪我を負わせるトラブルが起こるかもしれません。
病気を招く可能性
頻繁にマウンティングをすると、愛犬の腰や足に負担がかかって関節炎やヘルニア、脱臼などの疾患を招く可能性があります。
男の子の場合は、激しいマウンティングを繰り返すと陰部が傷つく恐れもあります。
犬のマウンティングをやめさせる方法
マウンティングはさまざまなトラブルを招く恐れがあるため、習慣化しないように対策しましょう。
ここでは、犬のマウンティングをやめさせる方法を紹介します。
動物病院で相談
獣医さんに病気が原因ではないか診てもらい、病気が原因の場合はその治療をしましょう。
皮膚や泌尿器のトラブルが原因の場合は、飼い主の努力では改善できません。
それだけでなく、犬自身にも負担をかけてしまうことになります。
去勢手術を行う
まだマウンティングがクセになっていない段階であれば、去勢手術を行うことで防げる場合があります。
ただし、すでにマウンティングが習慣化している場合は効果が薄かったり、手術してもマウンティングをしたりすることもあるので、獣医師と相談して決めると良いでしょう。
過剰反応しない
犬が遊んでほしい、構ってほしいという理由でマウンティングをしている場合、反応すると目的が達成されたと思って繰り返し行うようになってしまいます。
愛犬がマウンティングをしたときは、無視をしてその場を離れると良いでしょう。
「おすわり」や「ふせ」などのコマンド使い、落ち着かせてあげるのもおすすめです。
犬の気を逸らしてマウンティングの対象から引き離す
他の犬や人に対してマウンティングをしようとしたら、「おいで」のコマンドを使ったり、リードを引いたりして、犬の気をそらして対象から引き離しましょう。
ぬいぐるみやクッションが対象なら、マウンティングする物を隠すと予防になります。
こまめにストレスを発散させる
ストレスが原因の場合は、運動量を増やしたり、しっかりとコミュニケーションをとる時間を作ったりして、日頃からこまめにストレスを発散させてあげましょう。
ストレスの原因を見つけて、取り除いてあげることも大切です。
よくある質問
ここでは、犬のマウンティングに関するよくある質問と回答を紹介します。
女性にマウンティングするのはなぜ?
女性のホルモンやニオイに反応していると言われることがありますが、とくに根拠はありません。
男性と比べて女性の方が優しく対応する傾向があるため、遊んでほしくてマウンティングをしていることが考えられます。
マウンティングする犬を叱ってもいいの?
激しく怒鳴ったり、長く説教したりすると、犬は何を叱られているのかわからなくなってしまいます。
叱ると構ってもらえたと感じてしまう場合があるので、マウンティングをしたときは無視をするのがおすすめです。
無視しても落ち着かない場合は、何かで気をそらした後に、「おすわり」「ハウス」などの指示を出してあげましょう。
指示に従ったら、たくさん褒めてあげたり、ご褒美としておやつを与えたりしましょう。
犬のマウンティングは何かのサインの可能性!
マウンティングは他の人や犬に迷惑をかけたり、愛犬自身の健康を損なったりする恐れがあるので、早めに対処することが大切です。
犬のマウンティングは何かのサインの可能性があります。
まずは、かかりつけの獣医師に相談し、病気が隠れていないか診てもらいましょう。
病気が原因ではなく、行動学の問題であれば、まずは愛犬の様子をよく観察して、原因に合う対処法を実践してみましょう。
「原因がわからない」「対処してもマウンティングをやめない」という場合は、プロのドッグトレーナーに相談することをおすすめします。
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