子猫が大きくなったら、ミルクから離乳食、ドライフードへと切り替えていく必要があります。
しかし、はじめてミルクから子猫を育てる場合、食事を切り替えるタイミングがわからないこともあるでしょう。
今回は、子猫の離乳食を始める時期、体重別のミルクからフードの切り替え方、与え方の注意点について詳しく紹介します。
- 子猫の離乳食はいつから上げるべきか
- 離乳食の進め方
- 離乳食の与え方と注意点
長谷川 諒
下京ねこ診療所 院長、動物病院京都ねこの病院 非常勤獣医師。
大学卒業後、猫専門病院での診療や保護猫活動など「猫」に長く関わる一方で
現役獣医師によるメディアでの知識啓蒙にも取り組む。
学生時代に保護猫を迎えたことから猫にどハマりし、現在では3頭の元保護猫と暮らす。
長谷川先生の監修した記事一覧
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子猫のミルクはいつまで?離乳食はいつから?
個体差はありますが、子猫は生後3週頃(体重500g程度)になると乳歯が生えてきて、自力で排泄できるようになります。
このような成長が見られたら、ミルクから離乳食へ徐々に切り替えていきましょう。
離乳食はどんなものをあげるの?
離乳食の時期は生後6〜9週頃までですが、この時期は体を成長させるためにしっかりと栄養を摂らなければいけません。
子猫の離乳食には、子猫用の総合栄養食をあげましょう。
総合栄養食は、水をプラスするだけで必要な栄養分をバランスよく摂ることができます。
また、子猫は噛む力が弱く消化機能も未発達なので、やわらかくて消化の良いものをあげるのもポイントです。
離乳食をはじめたばかりの子猫には、ペースト状やムース状のウェットフードがおすすめです。
慣れてきたら、お湯でふやかしたドライフードをあげましょう。
【子猫】離乳食の進め方
ここからは、子猫の離乳食の進め方を紹介します。
わかりやすいように週齢と体重別に示していますが、与えるもの、離乳食やミルクの量は、猫の成長に合わせて判断してください。
【生後4週齢 体重500g】まずはかためのミルクをあげる
咀嚼の練習をするために練りミルクをあげましょう。
練りミルクは、猫用粉ミルクにお湯を混ぜて練り、ハチミツ程度の硬さに調節したものです。
あげていたミルクの量を半分にして、残りを練りミルクにします。
慣れてきたら、ペースト状の離乳食にミルクを混ぜたものをあげましょう。
液状に近い状態にしてあげると、子猫が食べやすくなります。
【生後5週齢 体重600g】ミルクを減らし離乳食の量を増やす
1〜2週間を目安にミルクの量を徐々に減らしていきましょう。
ミルクを減らした分、離乳食を増やして全体の量を調節します。
子猫の食の好みを把握するために、魚や肉などさまざまな味の離乳食を試してみましょう。
食いつきが悪い場合も、離乳食の種類を変えると食べられるようになることがあります。
また、離乳期にさまざまな味わいや食感を経験させると、好き嫌いを減らせるメリットもあります。
成長に合わせてフードを切り替えるときや、療法食へ切り替えるときにスムーズに移行しやすくなるでしょう。
【生後6週齢 体重800g】離乳食の量を減らしドライフードの量を増やす
生後6週齢までには、ミルクを卒業するようにしましょう。
はじめは、ペースト状の離乳食とふやかした子猫用ドライフードを1:1の割合で混ぜたものをあげます。
徐々に、ペースト状の離乳食の量を減らして、ふやかした子猫用ドライフードの割合を増やしていきましょう。
【生後2-3ヶ月齢 体重1kg】ドライフードのみにする
体重が1kg程度になったら、ドライフードのみにします。
歯が生え揃っていれば、お湯でふやかさなくてもドライフードを食べられます。
1〜2週間を目安に、徐々にドライフードに混ぜるお湯の量を減らしていきましょう。
ふやかしていないドライフードを食べられるようになったら、離乳は完了です。
離乳食の与え方の注意点
ここからは、離乳食を与えるときの注意点を紹介します。
最初は少量から与える
ミルクしか飲んでいない子猫は、離乳食を食べ物と認識できなかったり、上手に食べられなかったりします。
最初に離乳食をあげるときは、ティースプーン半分程度の量からはじめましょう。
子猫の前に離乳食を入れたお皿を置いただけでは、自分で食べないことがあります。
はじめて離乳食をあげるときは、指に離乳食をつけて子猫の鼻先に少しつけて舐めさせてみましょう。
口を開けられるなら、上顎に擦り付けても良いでしょう。
何度か繰り返し、子猫が離乳食の味を覚えれば、自分からお皿に入れた離乳食を食べてくれるようになります。
1日のご飯の総量を6回くらいに分けて与える
子猫の胃は小さくて消化機能が十分に発達していないため、一度に多くの量を食べられません。
1日のご飯の総量を6回くらいに分けて与えてあげましょう。
離乳期が近づいた頃の子猫はミルクをあげる間隔が4〜6時間おきなので、ミルクの時間に合わせて離乳食を与えて進めていくと良いでしょう。
ミルクを卒業して離乳食に切り替えた後も、1日のご飯の総量を分けて与えます。
個体差はありますが、1日6回程度、4時間おきを目安にあげましょう。
食事間隔は6時間以上空けない
空腹の時間が長いと、低血糖症を引き起こす原因となります。
低血糖症は血中のグルコース(ブドウ糖)が不足し、血糖値が下がることでさまざまな症状が起こる病気です。
低血糖症を発症すると、元気がない、ふらつく、けいれんするなどの症状が見られ、命に関わる事態になる場合もあります。
成猫の場合、健康であれば低血糖症になることはあまりありませんが、子猫は体の機能が未発達で、長時間食事をしないと低血糖症になるリスクが高いです。
6時間〜12時間程度の絶食でも低血糖症を起こす場合があるので、食事間隔は6時間以上空けないようにしましょう。
量は体重に合わせて増やしていく
子猫の食事量は、毎日体重を計測して成長に合わせて増やしていきましょう。
与える量は、フードのパッケージに記載されている目安量を参考に、子猫の欲しがり方や体の状態などを確認しながら量を調節するのがポイントです。
離乳食を食べるようになると、水も飲むようになります。
水飲み用のボウルを用意して清潔な水を入れ、いつでも飲める環境にしてあげましょう。
子猫に与えてはいけない食材をチェックする
人にとって美味しいものでも、猫には健康に悪影響を与える食材があります。
成猫と比べて子猫は少量でも重い症状が出てしまうことがあり、命に関わる場合もあるので特に注意が必要です。
【子猫に与えてはいけない代表的な食材】
食材 | 危険な成分 | 主な症状 |
---|---|---|
ネギ類 | 有機チオ硫酸化合物(アリルプロピルジスルファイド) | 血液中の赤血球が壊れて、食欲低下・貧血・血尿・下痢・嘔吐・黄疸などの症状が起こります。 |
生のイカ・タコ・エビ | チアミナーゼ | ビタミンB1欠乏症を引き起こし、食欲低下・嘔吐・歩行困難・麻痺・けいれんなどの症状が起こります。 |
チョコレート | テオブロミン | 猫の中枢神経にダメージを与え、下痢・嘔吐・興奮・ふらつき・けいれん・運動失調などの中毒症状が起こります。 |
ブドウ・レーズン | 不明 | 食欲低下・嘔吐・下痢・脱水などの中毒症状が起こり、急性腎障害になり命を落とす場合もあります。 |
他にも子猫に与えてはいけない食べ物は多くあります。
危険な食べ物は食べさせない、子猫が触れない場所にしまう、ニオイが漏れないように密閉容器にしまうなど、対策を徹底しましょう。
下痢・嘔吐を繰り返すときは早めに獣医師に相談する
子猫は消化機能が発達していないので、離乳食に切り替えると下痢や嘔吐をすることがあります。
離乳食の量を減らしてミルクを増やす、1回の食事量を減らして回数を増やすといった工夫をすると改善することがあるでしょう。
しかし、下痢や嘔吐が続くと栄養不足や脱水を引き起こし、命に関わる事態になるケースがあるので注意が必要です。
下痢や嘔吐を繰り返す場合は、早めに獣医師に相談しましょう。
子猫のペースに合わせて離乳していこう!
子猫の離乳は、体重や成長を見ながら切り替えていくことが大切です。
練りミルク
↓
ミルク+ペースト状の離乳食
↓
ペースト状の離乳食
↓
ペースト状の離乳食+ふやかした子猫用ドライフード
↓
ドライフードのみ
というように、段階的に進めていきましょう。
離乳食に慣れていない子猫は、嫌がったり、興味を持たなかったりすることもあります。
そのときは、無理に食べさせようとせずに、栄養が不足しないようにミルク量を調節して、徐々に離乳食に慣れさせましょう。
今回紹介した情報を参考に、子猫のペースに合わせて離乳していきましょう。
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